先週は金曜日にブラッド・ストーンX北野宏明による日米ロボット競技についての講演会、そして土日はロボサッカー大会と、奇遇にも二種類のロボサッカーを違う角度から眺めることになったのですが、いくつか気付いた事をまとめてみたいと思います。
先ずは、日米ロボットセミナーの話から。
ストーン氏の講演は米国のロボット競技の歴史に焦点を当てたものでした。氏によれば、MITの2.70という伝統的教育プログラムから、近年のロボットウォーズやバトルボッツ、そして日本由来のロボットスモウやロボカップがアメリカで将来ロボット開発に関わるであろう新しい世代を育てているとのことです。また同時に、競技システムの根幹を成す競争の原理が、結果的にロボット技術の進化をも後押ししているということでした。
一方の北野氏の講演は、自らが中心となって設立したロボカップの歴史と今度の展開について。ストーン氏との事前打ち合わせが合ったかどうかは分かりませんが、北野氏の論調も競争のシステムがロボットテクノロジーの発達に欠かせないというものです。ただしロボカップの場合「自律型のロボットで2050年までにワールドカップの優勝チームと戦って勝利を収める」という具体的な目標に向かっているという点で、他のロボット競技とは一線を画するものだといえます。
この、競争を通して新しい技術が産み出されるという論理には反対することもないですし、それはロボカップのみならずエンターテインメント性の強いロボワンの歴史をとってみても明らかなことです。ただ、昨年のロボカップ大阪大会を観戦した私としては、ロボカップがどれほど一般ウケするのかということに多少疑問を持っていたので、北野さん自身による「ロボカップとはロボット技術の発達を目論む50年スパンでの大きな研究プロジェクトです」という言葉には「まあ、そういうことだろうな」と多少の消化不良感を残したまま納得して終わることとなりました。
しかし、先週末のロボサッカー大会を楽しんだ後に、改めて自分のノートを見直してみると、北野さんの講演には今後のロボカップの展開についての幾つかの重大なメッセージが隠されていたんじゃないかと思い至るようになったのです。実は、ロボカップの話に紛れてこういったことが提案されていたんです。
1.ロボカップのヒューマノイドリーグに関しては、ロボットの無線化を考えている。
2.日本はロボットを使った宇宙開発で世界をリードすべきだ。具体的には、Space Humanoid Program と称するプロジェクトを敢行し、その一部としてSpace Robot Battle Entertainment等が考えられる。例えば、月面上に基地を設置して、そこで地球上からプレステのコントローラーを使ってロボットを戦わせたりしてはどうか。
1についてはロボカップの話の中でさらっと言及するに留まり、2については講演の最後の部分で半分ジョークも交えながら話を展開されていたので、あまり深く気に留めることもなかったのですが、実はこれって、今のロボワンの流れと明らかにシンクロしてます。
では、なぜロボカップの設立者からこのような提言がでてきたのか?この問いについて、次回以降、私なりの考えを述べてみたいと思います。
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